2011年12月2日金曜日

『花 ~いかに咲き散る 4』




~残響残像



あの空き地での出来事。一事が万事、物事は通じている。

あの日、あの場所で、ぼくを責めたあの人は、いま、ぼくのすぐ傍にいて、
あの日、あの場所で、ぼくを支えたあの人に、いま、突き放されている。

原因についてなんて考えたくも無い。

それよりもあの日、あの場所で、踊ったあの人のことを想ふ。

百何回目かのあの人の記念日も、頭から抜け落ちていまになって思い出している。

一途な形をしていたあの人は、目に見えるものがすべて。と、教えてくれているようだった。と、いま思う。

目に見えないものについて、いくら考えたところで、いくら語りつくしたところで、ぼくの心の奥深くへは立ち入れないんだ。

硬く硬く柔らかく。

目に見えないものを信じさせてくれた。

強く強く儚げに。

見えないはずのものを見せてくれた。

そう。

「きみはこんなにもたくましい存在なんだ」と、教えてくれたんだ。







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