~残響残像
あの空き地での出来事。一事が万事、物事は通じている。
あの日、あの場所で、ぼくを責めたあの人は、いま、ぼくのすぐ傍にいて、
あの日、あの場所で、ぼくを支えたあの人に、いま、突き放されている。
原因についてなんて考えたくも無い。
それよりもあの日、あの場所で、踊ったあの人のことを想ふ。
百何回目かのあの人の記念日も、頭から抜け落ちていまになって思い出している。
一途な形をしていたあの人は、目に見えるものがすべて。と、教えてくれているようだった。と、いま思う。
目に見えないものについて、いくら考えたところで、いくら語りつくしたところで、ぼくの心の奥深くへは立ち入れないんだ。
硬く硬く柔らかく。
目に見えないものを信じさせてくれた。
強く強く儚げに。
見えないはずのものを見せてくれた。
そう。
「きみはこんなにもたくましい存在なんだ」と、教えてくれたんだ。
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