2016年5月25日水曜日

『鋼鉄の花』3



 生け込みから一週間 色とりどりの笹の葉の色

 田んぼの中は強風吹き荒れている
 稲の合間には稗 来年はこの稗を生けたら良い
 やっぱりいつかはどこかで花屋を という想いもあったが 生けてる最中 そこここから声がかかり ああもう花屋できてるな なんて思いつつ生け足す
 裏山に畑 広い田んぼ 思う存分 自然を駆使して花が生けられる その内 ここらでライヴだな なんて思いつつ さらに生け足す
 花屋にしては まったく売る気のない花屋だ(ははは) こんな花屋もいい



 お友達も一人増やしておいた


 

2016年5月22日日曜日

『鋼鉄の花』2



 最初の生け込みから数日 すっかりカラカラに乾いた笹の束をひとつに束ね 新たに刈った笹の束を生ける
 稲はまだまだ植えた頃と様子が変わらない
 田には油のようなものが浮いていた
 久しぶりの休日のような気がして 昼まで寝ていた
 昼から起き出して 笹を刈る それを生けてまた田の泥の感触を確かめる
 それからひとり酒を呑み始め ぼーーーっとする
 気付けば夕方になっていて 陽射しが神々しい
 もう一束と思い 笹を刈る

 
 

2016年5月18日水曜日

『鋼鉄の花』





 農業家・茂川 真司くんとのコラボレーションで田んぼでのいけばなが実現した
 前日に一家四人田植えをして その土の感触を忘れられず 無理を言ってきょうの午前中生けさせていただいた
 
 花器となったバンセンのイメージはしゃぼん玉から無数の太陽 そして前日になって枯れる竹林から竹の伝説へ
 この時期 いままでにない勢いで竹林が枯れているらしい それに併せて想い起こしたのは竹の伝説で 60年だか100年に一度 竹は小さな白い花を咲かす それと同時に竹は破裂して一生を終えるという
 うろ憶えのこの話を想い起こしたのにはもうひとつ関連があって 数日前に物凄い轟音を夜中に聞き 目を覚ました出来事があったからだ 落雷のような 雪崩のような とにかく凄い音だったのだ

 近所の竹林は枯れているというが 昨年しっかり刈り上げた我が家の裏山の斜面からは とても美しい新しい笹が生えてきている
 もしかして 竹のが一生を終えると同時に 新たな生命の息吹が山から噴き出したのか などと想いながらバンセン花器をこさえたのだった

 いま 住んでいる吉木で花を生けたいとしばらく考え続けていた折 きょうはとても良い機会となった

 昼からは 本格的に茂川氏が田植えを仕上げる
 この度の作品「鉄の花」は 稲の成長と共に 日々 生けていくこととなる



 花器そのものは 2.5mほどあるが 笹をてっぺんに生けていたら やはり重さで倒れた ああ 竹が一生を終えたのだ と想い バンセンをぐしゃぐしゃに縮めて赤ちゃんの誕生と相成った

 この赤ちゃんがどんな風に成長していくのか 生ける自分の最大の楽しみである